日本・アジア地域チャネルマーケティング 執行役員 本部長 青木 大知
コンサートやスポーツイベントをはじめ、コロナ禍で無観客や人数制限付きになることが多かった大型イベントが、再び“リアル開催“に戻ってきています。“推し“のミュージシャンやアイドルの現場を直接楽しんだり、応援するスポーツ選手・チームを後押ししたりしたいのは、多くの人に共通する思いなのではないでしょうか。制限されていた客席での声出しもルールのもと認められるようになってきており、これからの季節、ファンにとって盛り上がる行事がいっそう増えていきそうです。
「数年ぶりに」「生まれて初めて」大きなイベントに行くという人にとって、気をつけたいのが、チケット購入に関係したトラブルです。近頃はスマホを使ったオンライン決済など購入方法が多様化したこともあって、トラブルや不正行為に巻き込まれるケースが多数発生しています。
せっかくの楽しいイベントで、悲しい思いをしないためのポイントをまとめてみました。
サイトでチケットを買うなら
オンラインでチケットを購入する際、最初の選択肢はイベントの公式サイトや、主催者が案内する大手プレイガイドでの購入でしょう。お金を払ってトラブルに巻き込まれないためには、こうした公式販売かどうかを、よく確かめて購入することが重要です。Googleなどの検索エンジンで検索して、最初に表示されたとしても、それだけで信頼はできません。上位に表示される中にも、偽のサイトや紛らわしい転売サイトが含まれている場合があります。
うっかり不正なサイトを利用してしまったら、どうなるのでしょうか。そのチケットは不適正な高値かもしれません。また画面に時間制限が現れて考える間を与えられずに買わされたり、キャンセルに応じてくれなかったりと、さまざまなトラブルのリスクがあるのです。もちろん公演中止や延期になった時の保障もありません。
人気の公演で売り切れが早く、やむを得ず転売チケットを買うしかない……というときにも、慌てて買うのは禁物です。近年大きなイベントでは、チケットの転売そのものを禁止しているのがほとんどです。その場合は転売品と気付かずに買ってしまうと、お金を払った事実があったとしても入場できません。公式販売サイトを確認し、まず転売チケットが利用できるのかどうかを確認しておきましょう。
転売禁止のイベントでも、公式サイトで案内されている「リセール」という救済措置があります。正規チケットを手放すことになった人から、オフィシャルに譲り受けることができるサービスで、これであれば問題なく会場に入ることができます。
不正なチケット販売サイトを見分けるためには、運営者の連絡先をきちんと書いてあるか、キャンセル方法の記載をごまかしていないかなど、信頼できるかをよく吟味してください。そして自分が行けなくなった場合にも、不正なサイトで転売せず、公式のリセールを利用するようにしましょう。
落とし穴が多い個人売買
こうした転売チケットの購入トラブルは、年々増加しています。特に20代の若い世代で、ライブチケットを求めてのトラブルが目立つようです。不正な転売サイトのほか、SNSや個人売買掲示板を通じた個人間取引も、トラブルになりやすいパターンです。
まず転売禁止のチケットは、当然ながら、個人間取引でも認められません。
そして転売チケットが使える場合でも、知らない人と金銭をやり取りする以上、気をつけるべきことが多いのです。言葉の単純な行き違いもあれば、代金の持ち逃げ、途中で連絡が取れなくなる、つきまといを受ける場合があるなど、さまざまなトラブルの火種になっています。
どんなに行きたいイベントだったとしても、一番大事なのは、あなたの安全と生活を守ること。少し調べると相場より高値すぎたり、そのチケットの席は実在しなかったりするかもしれません。会話のなかで不審な臭いを感じたら、そこで交渉を打ち切っていいのです。もちろん、必要以上の個人情報を教える必要はありません。リアルの生活以上に、不審な相手に深く付き合わないことが大切です。
チケットや代金の受け渡し方法も、最大限、安全に配慮を。直接受け取る時は、中身をその場で確認してください。郵送なら書留といった追跡できる方法を選ぶことができます。
トラブル防止のためのこうした工夫は、お互いのためにもなることです。ちなみに、自分が売り手になる場合、定価以上の金額の場合、厳密には違法とみなされる可能性が指摘されていますので、あくまで善意の取引を心掛けましょう。
ここまで述べてきた、転売サイトや取引相手とのトラブルが発生した場合は、消費者ホットライン「188(いやや!)」番」など公的機関に相談することができます。
そのチケットは、フィッシング詐欺の“エサ”かも!?
善意でもたくさんの躓きが起こるのが、転売チケットの購入です。さらにはネットやSNSには、明確な悪意を持ってお金をだまし取ろうとしているサイバー犯罪者も存在します。
もしも怪しいメールやSNSの見知らぬアカウントのメッセージからのリンクで、チケット販売サイトにアクセスしたのなら、警戒心を忘れずに持っておきましょう。実在するサイトそっくりに作られていたとしても、チケットというエサでお金や個人情報を抜き取ろうとする、フィッシング詐欺である可能性があります。
インターネットの歴史を通して、ウェブサイトやメール、ブログ、SNSなどあらゆるプラットフォームで、サイバー犯罪者は詐欺を目的としたスパムメッセージをユーザーに送り続けてきました。他のユーザーとやり取りできる環境なら、どんなツールやアプリからでもスパムメッセージを受け取る可能性があります。不審なメールを受け取った場合は「URLをクリックしない」「添付ファイルを開封しない」「ID、パスワード、個人情報を入力しない」ことを心掛けてください。
サイバー犯罪者の手口は年々高度になっているため、個人の注意だけでも限界があるでしょう。普段からスパムフィルターをONにし、セキュリティ対策ソフトも活用しましょう。マカフィーでは、フィッシングサイトなど不正なサイトをブロックする、マカフィー ウェブアドバイザーを提供しています。
いよいよ待ちに待ったイベントシーズンがやってきますので、安心をしっかり確保して、楽しくお過ごしください。
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